『トレインスポッティング』
早稲田松竹にて。
ダニー・ボイル特集。
英国にて過去最高益を出した『トレインスポッティング』と
アカデミー賞他多数受賞の『スラムドック・ミリオネア』の2本立て。
思ったより人が多かった、平日の昼からですけど?
やっぱり『トレインスポッティング』の威力やろね。
スキンヘッドor坊主刈りにヘッドホンてまんまのおもろい人もちらほら!おったし。
しかも最終回の『スラムドック』には行列が。
なかなかやるもんですな。
で、『トレインスポッティング』
スコットランド!
ドラッグカルチャーとかサイケな感じを受ける人が多いとは思いますが、
どちらかというとスコットランドな感じ。
主人公達がハイランドにいって、「クソな国」って愚痴って、
結局ロンドン行っちゃう、そして帰って来ちゃう。
ドラッグ、セックス、ミュージック、サッカー、007etc
無軌道でその場限りの生き方やけど、そこにヒッピー達のような底抜けの明るさはない。
基本構成は同じはずなんやけどね。
ヒッピーはカウンターカルチャーの担い手であり、彼らには依って立つものがあったし、彼らの多くにはエリートもいた。
んでもって、「Love&Peace」とか願うものも。
ラスタファリにしても、そこには何らかの将来へ向かっての「理想」みたいなもの
目指すべき現実との乖離が存在したと思う。
で、スコットランド。
なんもないやん。
金もない、仕事ない、やることない、なるものない。
3ナイ・4ナイやけど、そんな閉塞感ぶっとばして、そんなこと微塵も感じさせない。
というか、そんなの関係なくただ「生きて」ますやんね。
つまりは『岸和田少年愚連隊』なのね、基本的には。
それがスタイリッシュに、っていうと陳腐だけれど、かっこいい。
映像、音楽、全てがセンスいいよね。
サイケっぽくやりつつも話はきちんと成立してるし、リンチみたいに訳わかめでもない。
話はいたって明確に、そして単純に形成されてる。
登場人物もわかりやすく、そしてティピカルに描く。
そこに音楽、うまくイギー、ブラー、アンダーワールド、これもうまく使ってるけど、実はそれしかない。
なんか飛び抜けたことをやらずに、実にまじめに撮った映画。
センス勝負に見えて、実はしっかりとテクニックで撮ってる。
ダニー・ボイル、あんた張藝謀だよ(笑)
この人たぶん、ローカルからグローバルやんのうまいと思う。
ローカルに立ち入りすぎず、その臭いだけで料理して、その国の料理に仕上げる、これ見事。
この映画がイングランドでも大ヒットして、世界中の若者を捕まえたのも背後のカルチャーもあるだろうけど、そこも一因かな。
青春映画で、若者の無軌道な生き方って、どうやっても終わりは悲劇になるもんだけど、これはそうしない。
きちんと大人になりつつ悲劇的でもなく、きちんと終わらす。
途中はいろいろエピソードはいれれても、これは難しい。
個人的には『GO』『アメグラ』にならぶ名作です。
前者は疾走感、後者は時代性って意味で。
しかもハッピーエンド。
基本的には『Helpless』とか中上健次の世界だとは思うけど。
では
追
この前映画天国で見た『スコットランド・カップの奇跡』だとスコットランド感の辺が逆にローカルすぎる。
もともとそういう映画なんだろけど、スコットランドを強調しすぎてうざい。
サッカーで結びつくコミュニティ、そして家族、みたいな。
アメリカさんやりすぎですよと。