『ちはやふる』1−4

ひさびさのマンガ。
マンガ大賞とったので、とは完全に踊らされてるな私。


ちはやふる
末次由紀
2008年から『BE・LOVE』(講談社)に連載。
おもしろいです、素直に。
女性版ROOKIESというかMAJORですな。
競技かるたを舞台としたお話。
少女マンガの文法を完全に踏襲しながら、ある意味でスポ根を描く。
圧倒的才能を持つ主人公のまわりに集う人々。
その真剣さ、純粋さにふれて変わってゆき、協力者が増える。
そして様々なライバルとの戦いの中で成長する主人公。
少年マンガのある意味王道のストーリーを軸とはしつつ、そこはあくまで少女マンガ的に。
つまり少女マンガ的に読めば素直によめるし、一方でジャンプ的にも読んでいくことは可能。
『BAMBOO BLADE』土塚理弘作・五十嵐あぐり画(『ヤングガンガン』スクエア・エニックス
も萌えマンガの文法にスポ根ちゃスポ根だけど、ここまでではない。
『BAMBOO BLADE』は純粋な剣道スポ根と読みたいけど、そこには少し抵抗がある。
どう違うのかは感覚的なってしまうけど、「細かさ」がもしかしたらキーかもしれない。
ちはやふる』にある「細かさ」は話を進める上でいらないのではないか、という水準にまで細かく描く。
『BAMBOO BLADE』ではそれはあくまで話を進行させる上での設定にすぎない。
主人公がどの地平に乗っているかの違いかもしれない。
『BAMBOO BALADE』はあくまで萌えマンガの俎上にあり、それ以上でも以下でもない。
一方で『ちはやふる』のレベルはもはや違う。
ある意味で青年マンガのもっているニッチさ、専門性にその世界を設定しているのではないか。
そういう意味ではのだめに通じるけど、のだめ以上に主人公は自覚的であるし、作者も自覚的に「熱く」書いている。
のだめにはない、少年漫画的なエッセンス、それが加わっている。
掲載誌のBE LOVEが30代〜の女性向けと知って、なんとなくも納得。
あの純粋なまでの熱さ
あの完全な文法
そしてあの細かさ
全てが一体となった良い作品だと思います。
やっぱりいろんな人からのいろんな読みに対応する作品だということ。
マンガが雑誌を主の媒体として発表されている形態上、常にそしてダイレクトに商業的である。
つまり作者は「よいもの」を書くと同時に「売れるもの」を要求される。
それが日本のマンガの特徴だとも思いますが、これは良くできた作品かな、やっぱり。


ただ個人的には圧倒的才能の主人公、苦手です。
まだ4巻ですが、これからもっと周囲の凡人達の苦悩がリアルに描かれると楽しいかな。
いうてもこれまでは割と力業、押し切ってきてますが(笑)
「少女マンガ的MAJOR競技カルタ編」
やね、私にとっては。
MAJORに似てるわ〜軸はそのままですやんね、高校編とかに特に。
これからの展開に期待。
まだまだ化ける可能性のある作品だと思います。
んで、『BAMBOO BLADE』とだいぶ比較させてもらいましたが、フォローしとくと、
私はこの作品も好きです。
ただ寄って立っているとこが違うだけで。
では